俺様富豪と甘く危険な恋
でも、そこまで計算されたのならば、栞南は蓮にもっと惹かれてしまうだろう。今はまるでシンデレラのような気分を味わっている。

そばには危険な雰囲気のある王子様がいて。


(惹かれちゃだめ)


再び食べ始めた蓮をまつ毛の下からこっそり見て気を引き締めた。ただ、気を引き締めても出来ない難しいところまできているのを、はっきり認識した栞南だった。




高級車ばかりが並んでいるホテルのエントランスに見覚えのある黒のポルシェが停まっている。


「帰りはこっちだ」


呆気にとられている栞南を助手席まで連れて行き、シートベルトを閉める。締め付け具合を確かめた蓮は運転席に回る。

降って沸いてきたような蓮の車に栞南は小首を傾げる。


「朝日奈さん、どうしてさっきの車じゃないんですか?」

「気分転換に」


(気分転換……朝日奈さんは運転が好きなんだ)


そう解釈して礼儀正しくお辞儀をして見送るドアマンに視線を向けた。

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