キングとナイト
話したくない。知られたくない。会長には、知って欲しくない。
軽蔑されてしまうから、呆れられてしまうから…。

きっとあの人のように、また、捨てられてしまうから。


「…夷隅、泣くな」

会長に言われて、初めて気付いた。泣いていたということに。

「受け止めてやるから。お前が、溜めてる物。全部、受け止めてやるから」

よりいっそう、私を抱きしめる力が強くなった。

「お前から、逃げたりなんてしないから」

会長が、今までにないくらい優しく、呟いた。




その言葉は、ずっと求めていた、言葉だった。
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