マルボロ・ヒーロー
「珍しいっすねー。いつものように俺に飛び蹴りをくらわせてくれればいいんですよ?」

「そうだけど…客に当てないように気をつけなきゃなと思って。舞台狭いし」

「あ、そうか。人質とるの忘れないようにしなきゃ」

「俺が助けに行きやすい場所にいる客選べよ?」

「はーいはい。わかってますって」


ゆるゆると会話を続けていると
出番です、とスタッフに声をかけられた。

二人並んで喫煙所を出る。



「すごいです。満員ですよ!」

「マジ?」


舞台裏にスタンバイした俺にスタッフが耳打ちしてきた情報は、にわかに信じがたいものだった。

既にショーは始まっており、満員らしい観客はサクのMCに沸いている。
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