アイスクリームの美味しい食し方

「はい。」
下駄箱で靴を履き替えたあと、
佐々 新が
手を差し出してきた。

「は?何?」
私は、佐々 新を睨んだ。

「手です。」
「ぎゃっ」

そう言って彼は、
私の手を取った。


こ、こ、これは、
恋人繋ぎってやつ?!


指が絡み合い、
なんだかいやらしい。


案外ごつごつした手なんだな…
って違う!


「ちょ…離して。」
私は手を引き抜こうとしたが、
全然びくともしなかった。


すごい力だ。


「手繋いだだけで、
そんなに真っ赤になります?
どんだけ可愛いんですか。
演技ですか?

あと離したら、
お仕置きします。」

佐々 新は、
いつもの笑顔で戯言を言った。
背筋が凍る。

「…だ、だって、
…て…もん。」

私は心臓をばくばくさせて
訴えた。

「ん?なんて?」

佐々 新が私の目の前に耳を出す。
その仕草だけでも
世の女の子たちを
メロメロにするだろうな。

私は諦めて、
佐々 新にだけこそっと話した。




「男の子と
初めて手を繋いだの…。」


そのあと、
佐々 新は、
壁に頭を打ち付けて、
しばらくしゃがみこんだ。

私は何かの発作かと思い、
もう少しで
救急車を呼ぶところだった。
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