アイスクリームの美味しい食し方
「娘さんと結婚を前提に
交際させていただきたいのですが、
ご了承いただけませんか?」




は?




やっと泣き終えた私。
タイミングを見計らっていたかのように
とんでもないことを言い出した佐々 新。

病室にはっきりと
響いた。

「新くんは、娘を気に入ってくれたの?」

お母さんが間に受けてる。
まずい!

ばっ!

私は顔をあげて、
母から離れた。

「…ちょっと佐々 新!!
何言ってんのよ!
お母さんまでからかわないで!」
私は佐々 新を睨んで訴えた。


「からかってません。
彼女を愛してます。」

ごっごいづ〜!!
なんだ、その全く爽やかな嘘笑顔!!

いくらなんでも
胡散臭すぎるでしょ!!


佐々 新は、
一度目を閉じて、
背筋を伸ばした。



ゆっくり息を吐き、
綺麗すぎる目を開いた。



「チカさんの幸せを
僕に作らせてください。」


そうして、
頭を深々とさげたのだ。

まるで神聖な儀式のように
丁寧に静かに美しく…。
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