アイスクリームの美味しい食し方
「な、泣いてません。」

私は顔をあげた。

そこには、
この世のものとは思えない
甘い甘いお菓子みたいな
男の子がいた。


「いや、号泣レベルですよ。それ。」

声も顔も甘い。

柔らかそうな黒髪は、
少し癖っ毛気味で、
白い肌に、キュッと目尻が上がった大きな瞳、
唇は赤くてふっくらしてて、
口角も美しく上がっている。

い、イケメンって
こういうことなのか。

小さい顔に似合わない
すらっと男らしい体格。

思わず見入ってしまう。


「ほら、その大粒の涙を止めてください。」

彼はしゃがんで
座り込んでいた私に目線を合わせた。

そして、
そっと涙をぬぐった。

視界が歪んだ。

本当に泣いてたんだ…。

「ありが…」

「男を誘惑するいやらしい女ですね。
営業妨害ですよ。全く。」






「…い

いやらしい女?」





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