キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「あれ?これ、玄関?」
入ったところには狭いたたきがあり、そこに男物の靴が何足かきちんと並んでいた。
そこを上がったところには、玄関マットとちゃんとスタンドに建てられたスリッパたち。
フローリングの床の中央にはソファがあり、その背後には小さなキッチン、前にはテレビ。
そこを抜けて奥のドアを開けると、独立したお風呂とトイレ、そして洗面台と洗濯機。
「あったあった。これね」
メガネ拭きと洗剤を入れ、ふたを閉める。
そしてふと、洗濯機の横にあったカゴに目をやった。
「あれ?」
そこには、男物のワイシャツらしきものが。
なんで店舗の2階に、こんなもの?
そっと親指と人差し指で摘み上げると、その下には男物の下着が……。
「おい、椎名」
「はいっ!」
突然脱衣所のドアが開き、びくりと背中が反り返った。
そこに立っていたのは、怪訝そうな表情の矢崎店長だった。
「……お前、なんで俺の洗濯物漁ってんだよ。変態か」
「ええっ!?」
これ、矢崎店長の!?
慌てて手を離す。
「もしかしてお前、知らなかったのか?」
「へ……?」
「ここ、会社の寮になってんだよ。今は俺しか住んでないけど、あっちの奥の3部屋は立入禁止だからな」
寮?そうなの?
そういえば、うちは全国に社員がいるから、たまに遠くのエリアから単身赴任してくる人もいたっけ。
そういう人たちのための寮があるとは聞いたことがあるけれど、店舗の二階にあるなんて知らなかった!