キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


「コンタクトのせいだろ、それ」

「えっ?何すか、店長」

「ハツ、黒目がでかく見えるコンタクトしてるだろ」


ハッと、みんなが私の顔をのぞきこむ。


「うっわ、ホントだ!詐欺じゃん!黒目がちな小動物系を演出してる!」


長井君が私を思い切り指さす。

失礼な。こんなの、詐欺でもなんでもない。

みんながしていること。ただのメイクと同じレベルなのに。


「しかも、コンタクトに度が入ってて、メガネは度なしだろ」


矢崎店長が、次々に私の秘密を暴いていく。


「えっ、メガネ屋の店員なのに?」


杉田さんに言われて、私は反論した。


「だって、近視のメガネをかけると、目が小さく見えるじゃないですか。だから度なしにしてるんです」


ちなみに普段かけているメガネは、完全に仕事用。

黒のプラスチックで、横にニセジュエリーが花の模様に埋め込まれたものだ。


「やだあ、はっちゃんの可愛さって、完全に作り物なのねっ」


平尾さんがすごく嬉しそうに言いながら、焼けたお肉を勝手にみんなのお皿に分けてくれた。

それを口に運ぶと、チェーン店の安いお肉と違い、柔らかくてタレも美味しかった。

うん、長井君の言う通り!

ってそれはいいんだけど、作り物発言はないんじゃない?

また言い返してしまう前に、杉田さんがフォローしてくれた。


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