サイレント
ふと、グラウンドの隅で練習をしている陸上部に目をやる。

尾垣がジャージ姿で女子部員にフォームの指導をしていた。
その光景の中に有り得ない人物を見つけて一の心が凍り付く。

「何で……」

思わず呟いた一に「え?」と二塁についている一年が首を傾げた。

「いや、別に」

すぐに何でもないふりをしてバッターボックスに立っている相沢に視線を戻すが、後ろが気になってしょうがなかった。

見間違えるわけがない。樹里がそこにいた。
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