離れていても
「ドハ、あのね ドハのことずっと…」

そこまで言うと被せるかのごとく、
「俺明日から学校行くから」

流されちゃった…。

なんか気まづい空気になっちゃったし、とりあえずあっちに合わせることにした。

「男子校なんだ。柔道とか強いらしい
あと、バイトもする事にした。
エーマルベーカリーってとこ」

何なの、って思うくらい一気に話してきた。

エーマルベーカリーとかどこだし。

段々とイラついてきた。

「ふーん。頑張ってね」


まだ会って何時間しか経っていないのに、もうずっと一緒に居たみたい。

まるで嫉妬してるみたいじゃない。


彼が私の告白を濁した理由が分かったのは…この次の次の次の次の…日くらい。


要するに、時間はそんなにかからなかった。



私がエーマルベーカリーを知ったのは友人との会話で出てきたからだ。

「ねぇ、エーマルベーカリーってとこ新しく出来たらしいよ」

心の中で、出たっ!って思ってた。

けれども、平静を装う。

「どこ?それ」

早く答えて!!とか心の中で思ってた。(言葉に出さない、いや出せない)

「最寄りの近くだよ!ほら!」

そう言って友人が見せてきたチラシには大きく『エーマルベーカリーopen!!』
と書かれていた。

彼は一体どこでこのチラシを見たのか、
もしかしたら、チラシより前に知っていたのかも知れない。


これは、嫉妬ではない。

別に女の人と一緒に働いてるところを想像してクソっとか思ったりしていない。

そして、何より私達は付き合っていないのだ。

そんなこと思う資格さえ無いのだ。


…とにかく、そこのパン屋絶対に行かない。

そう思った。


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