君と僕の夏


「だ、大丈夫ですか?!あの、すんません!気づいてたわけやなくて・・・あの、わざとでぶつけよったわけでもなくて・・・!」

慌てて男の子の元に駆け寄るナオ。

ジーンズに赤いタンクトップ姿。

首から提げた銀のネックレスがゆらゆらと揺れている。


・・・あ、靴ナイキ。

パニックに陥りながらも、ナオは内心冷静にその人のことを観察していた。


「あ、あの・・・」

「だ、大丈夫」

呻くようにそう言いながら、その人は立ち上がった。

茶色のさらさらな髪の毛を揺らしながら、表情を痛みで歪ませている。


「申し訳ないっ!大丈夫ですか?」

「大丈夫やって・・・。」

下目遣いだったその人は、ゆっくりと瞼を持ち上げてナオをみつめる。

ナオはその綺麗な顔を見て、思わず息を呑んだ。

口が半開きになる。間抜けな顔のまま、ナオは彼を見つめていた。


「な、なん・・・」

じーっとみつめるナオに、戸惑うその子。


「なんなん・・・」

「え?」

「殺人的やん!」

「はあ?」

君の顔、すっごい悩殺。

< 7 / 16 >

この作品をシェア

pagetop