今日は運転手で

3

「それは、本当なのね?」

このヒト、一体いくつなんだよ。

目を疑う真っ赤なスーツ。

スタスタとあたしのそばに歩み寄ってきて、

ソファに腰を下ろす。

すかさず足を組んで、細身のタバコを口にくわえる。

「本当です。しばらくお付き合いしてみることになりました」

テーブルの上のライターに手を伸ばしながら、彼女はあたしを見上げる。

彼女は、あたしの母。

色々な人が、このヒトのせいで、迷惑をこうむっている。

仕事は出来るらしい。

その人脈を、駄目なほうに使って、あたしに見合いをさせているわけだけれど。

でも、家事をしてるとこ、見たことがない。

遊んでくれたり、どこかへ連れて行ってくれた思い出もない。

ついでに言うと、母もずっとずっと仕事ばかりしてたのに、少なくともあたしは、ヒトより裕福な思いを味わったこともない。

働いても、報酬を子供に使うことは決してしない性質のヒトなのだ。

・・・いいんだけど、別に。それは。

「それ、嘘だったら許さないからね」

お目当てのライターを握り締めて、ベランダへ出て行きながら、

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