幼なじみが、先生で。


あれから一週間。


芹澤くんになかなか会わないと思ったら、学校に来ていないらしい。


わたしが余計なこと言ったからかな……なんて考えが頭に浮かぶ。

本当だったら、謝りたい。



「芹澤くんと話したいよ………」



後悔ばかりが押し寄せて、勝手に涙なんか出そうになる。


…………1人でこんな暗い気持ちでいても何も変わったりしないのに。



早く、帰ろう………。



開けっ放しにしてあった資料室のドアをしっかりと閉め、下駄箱へ向かった。








ペタペタ歩き、結局暗い気持ちが抜けないまま雨音を聞いていた。


ザーッと静かな廊下に響く音。

耳を澄ませば、雨音に混じった別の音が聞こえてくる。



「ーーーーねぇ、はるか」



はっきりとはわからない。

けど、女の人の声だ。



は、るか…………?

もしかして芹澤くんのこと?


聞こえたのは、下駄箱に向かう途中にある会議室の辺りからだ。


普段会議室は閉まってるはずなのに……誰かいるの?


雨音交じりだったけど、はっきりと“はるか”と聞こえた。



でも芹澤くん学校に来てないみたいだし別のはるかって人かな?


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