本日より不倫デビュー致します。
何時も通り家に帰ると、いつも出迎えてくれる母がいない。そして仕事に行ったはずの父がいた。

「ただいまぁー、あれっお母さんは?」

「……」

「お父さん?」

「……済まない美蘭」

嫌な予感がした。

「何が?お母さんはどこ?買い物かなぁ?」

「……」

「それともポチの散歩かなぁ?」

「…………」


「ねぇ、答えてよ!!」

この先には何もないと信じていた。なのに…………

「美蘭、落ちついて聞いてくれ」

「何よ、何に落ち着けっていうのよ?」

「本当に済まない。美蘭………」

「だから何をよ?」

これから先の言葉はもう聞きたくなかったが………聞こえてしまった………

「俺と母さんは………………………………………離婚した」

「えっ…」

「本当に申し訳ない……美蘭の為にもしたくはなかったんだか……」

どうして急に……現実を受け入れられなかった。幸せな家庭だったのに…こんなのおかしすぎる…

「ねえ、なんでよ?今日の朝だって普通だったじゃない!!何も…何も無かったじゃない!!私にも何も言わずに離婚とかおかしいでしょっ!!!それに先週旅行だって行ったじゃない!!ねぇ、こんなの嘘よね?ねえ?」

「あれは母さんと考えた最後の家族りょ…」

「ふざけないでよ!なんで二人で勝手に決めて、私に黙ってるのよ!どうして最後の言葉も無しに出ていっちゃうのよ!!なんで…なんで…」



もう、涙が止まらなくなっていた。



(なんで私だけが不幸にならないといけないの!!私はただ普通に生きてきただけ!!なんで私だけ…お願い神様嘘って言って…)

「…でも、安心してくれ。新しい母さんが決まっているからな…」

「……してよ」

「なんだ?」

「いい加減にしてよ!なんで離婚した上に見ず知らずの人と生活しなきゃいけないの!少しはあたしの気持ち考えてよっ!」

「……美蘭っ!」



なんでよなんでよなんでよなんでよなんでよなんでよなんでよなんでよなんでよ



なんで私がこんな仕打ちに合わないといけないの?

雨がふっているのもかまわず外に飛び出した
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