もう一度、恋をしよう。




大和に対してドキドキするなんて初めてだから…どうしていいのか分からない。




「美桜が今でもアイツを忘れられずにいるって分かってたから…
お前を困らせるくらいなら、言わない方がいいって思ってた。」




「……アイツ?」




「…あの泣き虫の事、まだ好きなんだろ?」




問いかける大和に、私は何も言えなくなる。


目を逸らせようとしても、大和の強い眼差しが私を動けなくした。




「……やっぱ好きなんだな。」




「……ち、違うってばっ!」




何も言わなかった事が肯定的だと捉えられてしまい、私は慌てて否定する。


大和は奏多くんを“泣き虫”と呼ぶばかりで、名前を本人の前でも私の前でも一度も言った事がない。
< 83 / 102 >

この作品をシェア

pagetop