【完】一粒の雫がこぼれおちて。





「っ、逃げなさい!! ……お願いだから、早く……逃げて……っ!!」



……冬の夜は、寒かった。


6時過ぎとなれば、もう辺りは真っ暗で。


都会だから星は見えないけれども、月が綺麗な満月だった……気がする。



「はぁっ、は、あっ……っ。」



男は追って来なかった。


もしかしたら、母さんが引き留めてくれてるのかもしれない。



早く、助けないと……!!



鞄は家に置いてきてしまったから電話はできなくて、近くの警察に駆け込む。


床に広がっていた父さんの血や、刺されたときに飛んで来た母さんの血がついた僕を見て。


説明を聞いた警察は、すぐに動いてくれた。



……そう、すぐに……。


すぐ、に……。





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