【完】一粒の雫がこぼれおちて。





早速、倉橋から貰ったブックカバーを本に被せる。



表紙は当然見えなくなるけど。


ブックカバーに包まれた本は大事にされている感があって、少し愛着が湧いた。



「気に入ったの?」


「うん。」



倉橋は「よかった!」って笑うと、いつも通り僕の隣へと腰を下ろした。



「ほら見て。また倉橋さんと和泉くん、一緒にいる。」


「付き合ってないなんて、絶対嘘だよね。」



……数日前、せっかく僕が、くだらない噂を消してあげたというのに。


コイツがこうやって僕から離れないから。


消した噂もまた戻って来た。



しかも。


「噂の中だと私たち、付き合ってるんだって。カップルだね。」





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