ゾルダート～セルジュの憂鬱(3)

｢出張｣

ルドルフボスは、真っ赤になって、さっきの紙切れをオレに見せた～。オレは、唐突なルドルフボスの頼みをどう理解していいのか分からず、とにかく紙切れに目を走らせた～。


｢スーパー観覧車、大解放！父の日の特別イベントだよ！お父さんと一緒に遊びに来てくれたキミには、おもちゃとショーのプレゼント！｣


それは、オレが今日デートするはずだった遊園地での、父の日イベントの開催チラシだった～。


｢これって、最近できた遊園地のチラシですね～｣


｢知っているのか？なら、話は早い。私を連れていけ。護衛だ。そして、観覧車に一緒に乗り込め。これは指令だ｣


ルドルフボスは、なんとか格好をつけるが、要は遊園地に行ってみたいんだな～。やっぱり子供らしいところがあるじゃないか～。ほほえましいな～。


ふと、椅子の後ろを見ると、シュテファンボスが恨めしそうにオレを見ていた～。仕方ないよな～、シュテファンボスが本当の父親だが幽霊と行くわけにはいかないもんな～。


｢分かりました～｣


｢本当か！……いや、まあ、当然だ。指令なんだからな。というわけで、私はたまたま今日、学校が休みだから、早速行くぞ。お前は有給を取れ｣


｢有給、すっからかんです～｣


｢あきれたやつだな。仕方ない、出張扱いにしよう｣


オレは仕事をしなくていいので浮かれ、ルドルフボスは行きたかった遊園地に行けるので、どことなく顔がほころんでいた～。


あれ？さっきの嫌な予感は何だったんだろうな～、と思いつつ、オレは更衣室に向かった～。