翠月姫



地面に叩き付けられている筈の身体は
男が抱き締める形で 防がれた


「病み上がりなんだから…無理すんな?」


「…っ、でも!!」


「はいはい、寝て寝て」


再び立ち上がろうとすると
男は 私の身体を軽々と持ち上げた



「言い訳しなーい!!…もう少しでいいから、休め」


そう言って私をベッドに寝かせる


「…すみません」


「ん。」


私も正直な所 今は動けそうも無い

男は“何かあったら呼んでな?”と言い残し
部屋を出て行った



「…ふぅ」



“まさか…倒れるなんて”
私の頭の中は 不安だらけで。


幸い 今話した様子だと
どうやら私の正体は バレていない様だった

少し休ませてもらったら すぐに此処を出よう


私はそんな事を考えながら
もう一度 静かに目を閉じた


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