oneself 前編

あわない時間

あれから5日が過ぎた。


哲平は仕事の前と終わった後は、必ず連絡をくれる。


仕事中でも、あたしがおやすみのメールを送ったら、手が空いた時には返事をくれる。


だからあたしは何も考えないようにしながら、毎日を過ごした。


仕事の話は何も聞かない。


向こうも何も言ってこない。


聞いたって、どうせ分からない世界だから。


それに聞いてしまったら、不安になるだけだから。


今日は土曜日。


あたしは奈美に誘われて、サークルの飲み会に参加する事にした。


家で一人で、哲平の事を思う時間を作りたくないから。


この前の奈美の件があって以来の、久しぶりの飲み会。


奈美も同じくあの日ぶりだった。


あんな事があっても、奈美と立川先輩は、未だに微妙な関係を続けている。


正直、奈美が何を考えているのか、あたしには分からなかった。


本当の友達なら、こんな時は何て言うんだろう?


きっと幸子や香がそんな事をしてたら、あたしは必死になって反対するんじゃないかな。


< 143 / 245 >

この作品をシェア

pagetop