oneself 前編
part1

卒業

暦の上ではもう春だという3月。


少し前の雪が降っていた頃と比べると、ほんの少しだけ、肌を刺すような寒さは、和らいだ気がするけれど。


でも、これを春と呼ぶには、やっぱり早すぎる。


それでもあたしも含めた沢山の生徒達が、こんなくそ寒い中、校庭に溢れて家に帰ろうとしないのは、今日が特別な日だからだろう。


そう今日3月1日に、あたしは無事に、高校の卒業式を迎えた。


お世辞にも綺麗とは言えない古びた校舎を見つめる。


あっという間の3年間だった。


数々の思い出が、走馬灯のように記憶を駆け巡る。


今日で、本当に終わりなんだ…


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