oneself 前編

友達の存在1

京都に泊まったあの日から、2週間が過ぎた。


あたしの生活には、何の変化もなく…


いい加減、バイトをしなきゃいけない現実から、目をそらし続けていた。


変わった事と言えば、哲平からの連絡時間。


「仕事行って来る」


その連絡が早い日は同伴で。


「帰って来た」


その連絡が遅い日はアフターで。


それをするなんて内容は書かれていないけれど、おそらくそうだと思っている。


余計な事は、聞かない、考えない。


不安になるだけだから。


本当なら今頃は、哲平はホストを辞めてる予定で。


あたし達は昔のように、幸せな時間を過ごしているはずだった。


もしあの時、別れる事を承諾していれば、哲平の気も変わったんじゃないかなんて。


あの日あれだけ哲平を失う事を恐れたのに…


何だかんだ言って、哲平は他の女の人と楽しんでるんじゃないかなんて。


あれだけ信じようと思ったのに…


でも不安に押し潰されそうな日は、そんな事を考えたりもした。


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