あの日失くした星空に、君を映して。


「いたっ…」


ギリッと軋むくらいに手を握りこまれる。


声が聞こえていないのか、力はどんどん強くなっていく。


爪が食い込んでるとかそういうわけじゃないのに、手のひらの力だけでこんなにも痛みが走る。


力の差。


「いっ…深影っ!痛い!」


「っ…」


ついに耐えきれなくなって叫ぶ。


弾かれたように手を離した深影の瞳が不安定に揺れる。


ジンジンと痛む手の甲は真っ赤。


自分で手を包み込んで深影を見上げる。


その瞬間


「ふっ…んん…」


荒々しく唇が重なる。


軽く触れ合わせてから、だんだん深くなる口付けが好きなのに。


私の意思なんて関係なしに、唇を割って入ってくるものを、怖いと感じた。


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