咲かない花
・・・ドキドキする。
彼の笑顔に。
彼の優しい手の感触に。

あぁ、やっぱりバレーボールしてるだけあって、てのひら大きい、とか余計なことを考えてしまう私は、その先と、これからを見ることを・・・怖がってるのかもしれない。

そして二宮くんは、私より無骨で太い親指で、目の下の涙をそっと拭いながら、私の名を呼んだ。

「茉莉さん。俺のこと、好きですか」
「う・・・」

「うん」と言いかけた私は、かろうじて言い留まると、微かに顔を横に振った。
でも、嘘まみれで弱弱しい否定だと、彼にはバレバレなのか。

二宮くんは余裕の笑みを浮かべたまま、「俺のこと、好き?」と、もう一度聞いてきた。

・・・ダメ。
この笑顔と、体と、心・・・二宮くんの全部が、もう・・・。

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