透明ガール

そう思ったが、体がふらつき外に出るまでも一苦労だった。



仕方なくお言葉に甘えさせてもらうことにした。



「じゃあ、帰ろうか」



「うん」と答えようとして、動きが止まる。



「はい、乗って?」



「え、何やってるの?」



目線の先の榎本は、なぜかしゃがんでそう言った。



「なにって…背負うの」



は、はい⁉︎



背負うって、つまりはおんぶってことだよね⁉︎



「いいじゃん沙奈、背負ってもらいなよ」



言い終わって、ふふっという笑いが冬華の口から漏れる。



じゃかあしいわ‼︎


せめて笑いをおさえてから言って欲しい。

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