ジャンヌ・ダルクと女騎士

取り乱す両親

「そ、そうか?」
「そうですわ!」
 シモーヌがニコリと微笑みながらそう言うと、アルテュールも微笑んだ。
「まぁ、お前がそう言うのなら、よい。此度はよく頑張ったのだしな」
「はい。お蔭様で、一命もとりとめました」
「うむ。もう無理はするでないぞ」
「はい。心しておきます」
 ベッドの上で少し元気になったシモーヌがそう言いながら頷くと、アルテュールも大きく頷いた。
「ならば、私は帰ろう」
「え!」
 シモーヌとマルグリットが、ほぼ同時に声を上げた。
「もう帰るんですの、あなた?」
「ああ。私がここに長居すると、陛下の感情も善良公フィリップ Philippe le Bon(=ブルゴーニュ公)の神経も逆撫でしてしまうだろうからな」
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