夢喰い

想うほど


話し終えた私はドキドキと胸が騒ぐのを必死に抑えていた。


怖い。

友行に拒絶され、一人になるのが怖くて堪らない。


そんな自分を心の中で自嘲する。

今まで何度も繰り返して来たことだ。男なんてただ生きるための踏み台。

友行だって、例外じゃない。
初めて出会ったあの日、私は友行が欲しかったんじゃない。
友行の夢が欲しかった。


俯く私の震える手の平を、さりげなく握ってくれる右手だって、欲しくないはずだった。
< 66 / 90 >

この作品をシェア

pagetop