夢喰い

その夜、私はまた眠る友行の腕の中から身を起こす。

ずっと拒んでいたこと。
だけど友行があんな風に言ってくれたから。

私は友行の夢を探る。


「馬鹿だね、友行……こんな悲しい夢、見ないでよ」


それでも私は友行に深く深く口づけた。

友行から悲しい何かが流れ込んで、私の全身に渡る。

滲み出るような痛い感情に堪えられず涙が溢れた。

友行を起こさないように、私は声を押し殺して泣いた。


友行……
そろそろ終わりにしなきゃ。
< 76 / 90 >

この作品をシェア

pagetop