季節外れの花
「ごめーん、遅くなって!」

息を切らしながら、駆け寄る奈緒と佳奈。

「もー、遅いよー。」

結衣加ちゃんが腰に手を当てて怒る。

それに、ごめんなさいと何度も頭を下げる

二人。それが、なんだか面白くて。

「あはは、なんか上司と部下みたい。」

なんて、言ってしまったからまた、上司が

怒った。

「茜まで、そんなこと言うのーー!!」

「ごめんってー。」

そんな会話が続く。

あぁ、楽しいな。

でも、もうこんな会話もできなく

なるのかな?それは、辛いな。

だけど、決めたから。

もう、迷わない。

「あ、もう映画始まっちゃうよ!速く行こうー!」

奈緒が軽やかに走り出す。

今日は、四人で映画を見た後に海に行く予

定になってる。

楽しもう。

ただただ、そう思った。

「やべー、ちょう感動したんだけど!」

佳奈が涙ぐみながら、ジュースをごくごく

と飲み干す。

「いや、まずは涙ふこ。」

奈緒がハンカチを取り出す。

そのかわいいハンカチをありがと

って言って受けとる佳奈。

映画は、恋人が病気で結婚寸前で他界して

しまうという悲しい恋愛物語。

今、結構人気で席は満席だった。

私も、何度か涙が出た。

「佳奈、泣きすぎ。」

そういった、結衣加ちゃんも目が真っ赤。

「皆、泣きすぎだよー。」

そう言った奈緒も目の周りが赤色。

きっと、私もこんな感じなの

かもしれない。

「んじゃあ、海いきますか?」

結衣加ちゃんが、鼻を啜りながら言う。

それに、頷き歩き出す。
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