季節外れの花
「茜は、きっとわかってるんだよね?何が自分にとって大切にしないといけないのか。ちゃんと、前向きなよ。」

ドキン

「…え?」

なにかが自分の中で動いた。

気がした。

静かだった、なにかが。

ゆっくりと。

コトン

ドミノの最初が倒れる。

それに続いて、次々に。

奈緒の言葉とあの日の声が重なる。

『ちゃんと、前見ろ。』

『ごめん……。』

ドキン

「なんで、前向こうとしないの?茜は茜だよ。変わっても、茜。」

暖かい陽射しの中で冬の匂いがした。

その向こうにあるのは、

青い空。

眩しい、青。

「奈緒。ごめん…」

暖かい瞳。

まっすぐな。誰かに似た瞳だった。

でも、それがちょっと不機嫌そうに笑う。

あ、言う言葉間違えたね。

「ありがとう。」

「ううん!全然いいんだよ。」

奈緒の目が一瞬太陽の光を浴びて輝いた。

そんな気がした。
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