派遣彼氏

「…今は結婚を考えてる人、いるよ」


嘘つき紀子。ママの喜ぶ顔が見たくて、ついまた嘘をついた。花が咲いたように満面で笑う彼女は、

「あらそうなの！なら今週の日曜日に家にいらっしゃいな！絶対よ！お洒落しなくちゃ！」

ただ喜んでいた。


当人の私は背中に冷や汗をかきながら、いいよ、彼に聞いてみる、と。口を濁し、逃げるように病院を出たんだ。


外は薄暗くて、街道を歩いていた。肩が重くて、どうしようか考えながら。辞令をもらって、母と無理な約束してしまうし。


「ありがとうございます」


手には宣伝ティッシュがあった。通り過ぎた時に無意識にもらってしまったみたいだ。このティシュの宣伝のところに、

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と。