派遣彼氏
「え?今日すぐに…ですか?」


丁寧な口調で話す、電話の向こう側。


“3ヶ月更新で彼氏としての業務を努めさせていただきます。まず初めの期間は一番人気の男性をご用意致します。彼の希望で、契約更新をするかご相談ください”


何となく初回は人気の人を用意させて2回目からは彼を選ぶとき高額請求させるつもりなんだろう。そんな思惑にはまらない自信はある。今まで彼氏なんていたことないし、というか、恋愛をしたことはない。


高校までは生徒会長もこなして、大学は首席で卒業と、恋愛する暇などないからだ。なんて自慢したって過去の栄光でエリートも、今じゃ雑用係なんだから。


「若宮ハイツの203号室です。…よろしくお願いします」
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