麗雪神話~炎の美青年~
何事もないとわかったセレイアとディセルが警備に戻ると、ブレイズが「あっそうだった」と一冊の本を奥から取り出してきた。

「このシリーズ、最新刊が出たんだよ!」

「ふうん」

ラクールは心ここにあらずといった風情で、セレイアとディセルが出て行ったあたりをみつめている。

「ふうんって……」

ブレイズは少なからず驚いた。

このシリーズは、自分よりもむしろラクールが楽しみにしていたのに。

「ラクール、どうしちゃったの。読まないの?」

「ん? ああ。もちろん、読むよ。でも僕、ちょっと忙しくてね」

話を流された。そんな印象がぬぐえなかった。

「ラクール?」
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