麗雪神話~炎の美青年~
セレイアはいきなりこほんとひとつ咳払いをすると、候補たちに流し目を送る。

「ルールを破らない形で、ヒントだけなら教えてあげてもいいわよ?」

「…本当か!」

「早く教えろ!」

「それ、なんだ!?」

「教えてください、お願いしますセレイアさん」

―しめしめ、全員食いついた。

セレイアはしばし間をおいてもったいぶってから答えた。

「四人で協力することよ」

「!!」

全員の顔に衝撃と動揺が走る。

「知恵を出し合い、汗を流して、四人で協力するの。それがヒントよ。これ以上はルール違反だから教えられないわ」

「そ、そんな…」

「そんなこと、できるはずないだろ! 誰がこんな奴らと!」

「俺だって協力なんて御免だね!」

「女、でたらめ言うな!」

候補三人が一斉にセレイアに噛みついたが、そんなのは予想済みだ。セレイアは余裕の表情で言った。

「でたらめかどうかは、やってみなくちゃわからないんじゃない? 
今のままじゃ、儀式を無事終えられるかどうかわからないわ。それでいいの? みんな、族長になりたいんでしょ?」

「それは……」

「ぐぅ……」

唸る様子から、候補たちの葛藤が見て取れる。
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