麗雪神話~炎の美青年~
その日の夕食では、今まで黙り込んでいた彼らが、ぽつりぽつりと何気ない会話をするようになっていた。

そして翌日から、それぞれの献身的なお世話が始まった。

水や花を差し入れ、網越しに体を撫でてやってスキンシップをとる。

その時に優しい声掛けをする。

この優しい声掛けに、ブレイズ以外は皆苦戦していた。

プミールたちはじょじょに警戒心を解くようになっていた。

が、まだ網から出し、背中に乗っても大丈夫なほどの信頼にはほど遠い。

しかし儀式が四日目、五日目と進むにつれ、候補者たちは確かな手ごたえを感じるようになっていた。

六日目の朝がやってきた。

「よし! 右足あげて。はい、左足あげる。よくできたな!」

プミールとお手やおかわりで遊んであげているのはヴァイパだ。

アヴァは花冠を頭に乗せてやって何やら話しかけている。

ビッチィは自ら網の中に入り、プミールのおなかをくすぐっている。

ブレイズは網の外にしゃがみこんで、木の枝と葉っぱでこしらえた即席おもちゃを振ってプミールと遊んであげていた。

「いよいよ、期限は明日ね。大丈夫かしら…」

そんな一同を眺めていたセレイアは、隣で同じように眺めているディセルにわずかな不安を吐露した。

ディセルは笑って、セレイアの肩を励ますように叩いてくれた。

「きっと大丈夫だよ。みんな、儀式を終えられる。プミールたちだって、もうあんなになついているんだから」

「そうよね」
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