麗雪神話~炎の美青年~
「戦争!? いったいどこと。まさか部族同士―」

「違う違う。神聖王国トリステアとだ。カティリナ様が兵を挙げた。カティリナ様が勝てばいいが、もし負けたら、戦火はここまで飛び火してくる。逃げるか、閉め切ってじっとしてるかが賢い選択だよ」

―信じられない。

セレイアは目の前が真っ暗になっていくような気分だった。

カティリナが、トリステアと、戦争を!?

「嘘よ…それはアル=ハル様の判断なの? あんなに、戦はお嫌いだと仰っていたのに」

「どうだろうね。アル=ハル様は今、隣町まで行っているんだ。その隙にカティリナ様が指揮して赤プミール軍の兵を挙げたように見えたから、知らないのかもしれない。隣町は今、今までにない規模の霧に襲われていてね。その避難誘導役を、アル=ハル様が買って出て……危ないからとお止めしたんだが……」

それ以上の話は、セレイアの頭の中に入ってこなかった。

めまぐるしく考えを巡らせる。

なぜカティリナは兵を挙げたのか。

ひょっとしてセレイアが見た怪しい行動は、武器か何かを密かに集めるためのものだったのか。つまりこれは計画的な行動なのか。

隣町で発生した霧と、このタイミングの挙兵は、何か関係があるのか。

そうに違いないとセレイアは思った。
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