麗雪神話~炎の美青年~
「それで俺は後先考えず、人間界に降りてきちまった。来てから気づいたよ。帰る方法を聞き忘れたことに。しかも悪いことに、俺は人間界で実体を持つことができなかったんだ。物にも触れず、ただ人は姿を見ることすら叶わない。これではヴァルクス捜しもままならないと、困っていたところで、ブレイズをみつけたんだ。
ブレイズは火の部族の直系の息子で、炎の加護をその波動に持っていた。だから俺の姿を見ることができた。
俺はブレイズに、しばらく体を貸してくれないかと頼んだんだ。実体化する方法が見つかるまでの間な」

どんな方法を用いれば神が実体化できるというのだろう。

そもそもその話が本当ならば、雪の神であるディセルはなぜ、実体化したまま地上へ降りてこられたのだろう?

情報の整理のため黙りこくるセレイアとディセルをよそに、サラマスは激辛チキンを平らげながら話を続ける。
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