麗雪神話~炎の美青年~
本棚の影から、人影がひょっこりと顔を出す。

そして……

足元の本に盛大に躓いた。

「わわっ! わぁぁ~!!」

あとは推して知るべしである。

人影は積み上げられた本の山につまづき、それを倒しただけでなく、本棚に頭をぶつけて本棚を傾かせてしまったので、たくさんの本が人影にあられのように降り注いだ。

大惨事だ。

「大丈夫ですか!?」

ディセルが思わず駆け寄ろうとして本の山につまづく。

そしてまたまた推して知るべしの展開だ。

ディセルまでもが見事、本の山の歓迎を受けてしまった。

「ディセル!! ああ……」

「うう…」

二人が呻いて体を起こす。

―二人ともけがはなさそうでよかった。

とずらした視線は、硬直した。

本の山から顔を出した青年の姿をとらえたからだ。

ディセルもすぐさま「そのこと」に気づいたらしく、見る間に険しい表情となる。

「君……っ!」

「あなた…っ! あ、あの時の……!!」

二人は口をぱくぱくさせるばかりで大した言葉が出てこない。
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