麗雪神話~炎の美青年~
「ブレイズ、珍しいな。お前が本以外に興味を示すなんて」

茶化すように言って、ちらりとディセルを一瞥した。

そして「ふむ、いいだろう」と一人何かに頷き始める。

「セレイア殿、ディセル殿。もしお時間が許すなら、ひとつ頼みごとをしたいのですが、よいでしょうか」

「頼みごと…ですか?」

「せっかくのお言葉ですが俺たちは先を急ぎますので…」

ディセルが断ろうとしていることに、セレイアは驚いた。

彼の脇腹を思いっきり肘で小突いてやる。

「何言ってるの! まずはお話を伺うだけうかがってみましょう」

セレイアが睨みをきかせると、ディセルはしぶしぶ頷いた。

「………わ、わかった」

「詳しい話は我が天幕に戻ってお聞かせします。
ブレイズ、ついてきなさい。
ラクールは、悪いが席を外してくれ」

「はぁ~い! じゃあまたね! ブレイズ!」

「うん。また」

飛び跳ねながら天幕を出て行ったラクールを見送り、セレイアたちは再びアル=ハルの天幕へと戻った。
< 43 / 176 >

この作品をシェア

pagetop