麗雪神話~炎の美青年~

「ディセル、どうして護衛の話を、簡単に受けてくれたの?
危険だからって、あなたは反対するかと思ったのに」

宿の一室に落ち着くと、セレイアは早速尋ねてみた。

ディセルはベッドに腰掛け、静かな瞳でセレイアを見る。そして苦笑した。

「危険なのはどこにいても変わらないよ。霧だって街でも発生してる。だったら君のそばで君を守りたいと思ったんだ。どうせ君は、俺が止めてもブレイズさんの護衛につくんだから」

「…………」

本当にディセルときたら、セレイアのことをよくわかっている。

共に過ごした時間はまだ大した日数ではないのに。

そう思うとあたたかい気持ちになったが、同時に不安がこみあげてきた。

「それにしてもディセル…まさかあなたが命を狙われているなんて…」

しかも何者がそんなことをしようとしているのか、情報がまったくないのだ。

不安が顔に出たのだろう。

ディセルが気遣うような表情になった。

「もしかして…心配してくれているの?」

「あたりまえじゃない!」
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