……っぽい。
 
笠松に思いっきりツッコまれ、次いで胡乱な目を向けられてしまった私は、もう掘れる墓穴を掘り尽くしているに違いない。

力なくうなだれ、猛烈な自己嫌悪に陥りながら大人しく笠松の部屋に入るしかなかった。





「じゃあまず、飲みましょっか」


笠松の部屋に入れてもらい、床に転がるクッションの上で体育座りをしていると、そう言った笠松がお猪口とお酒の瓶を持って戻ってきた。

ここまでの道すがらにコンビニに寄り、食料やら、私のメイク落としや化粧水や歯ブラシ等々を購入したのだけれど、どうやら笠松は、知らない間にお酒類も買っていたらしい。

お猪口だから渋く日本酒でも飲むのだろうかと思っていれば、瓶に貼ってあるラベルには、ウォッカの文字が読み取れる。


「ねえ笠松、空きっ腹にウォッカとか、マジ拷問プレイ……。さっきまで吐く吐く言ってた人に飲ませるお酒じゃないって」


絶対やめないだろうなと諦めつつ、とりあえず言ってみたものの、やはり楽しそうにウォッカを注ぐ笠松には聞こえるはずもなかった。

「強いの飲んで全部吐いちゃえば楽になれますから」とか言って、私の前に並々と注がれたウォッカのお猪口を差し出してくる。
 
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