……っぽい。
 
対する私は、特に笠松の仕事を手伝えるわけでもなく、受注管理やたまに入るクレームに外回りに出向き、あちーあちーと言いながら、先方に頭を下げて回ったり。

私は私の仕事に励んでいる。

金曜の夜に「明日、出勤になっちゃいました」と申し訳なさそうに言われ、急に1人で過ごすことになった先週末は、香久山さんが勤める家具屋さんにしほり一家と出向き、カタログだけでは分からなかった家具の手触り感や具体的な大きさ、使い勝手の良し悪しなどを、彼に終始付き添ってもらい、説明を受けながら候補に挙げた一つ一つをゆっくりと見ていった。


そして今週末。

アホの私にしては本当に珍しく、ダサくも夏風邪なんかを引いてしまい、笠松は昼食や飲み物、風邪薬の用意まで万端に整え、最後に私のおでこに冷えピタを貼って出勤していった。

仕事も、私の世話も、ほんとご苦労さまである。


「……しかし真人、バカだったなあ」


警察沙汰を起こしてしまった真人の、この世の終わり感漂う情けない横顔を思い出すと、申し訳ないけれど今でも笑いが込み上げてしまう。

真人の自業自得の結果だったわけだけれども、真人自身も、取っ組み合いをしていた女性たち自身も、また、警察沙汰を起こしたという噂を耳にした他に囲われていた女性たちも--。
 
< 200 / 349 >

この作品をシェア

pagetop