……っぽい。
 
か、可愛い……。

こんなに可愛い人が同期になったら、俺、めっちゃ仕事頑張っちゃうんですけど!


当時、彼女はいたが、お互いに就職試験やら面接やらで会う時間が取れず、俺はどうにも寂しい思いをしていたし、同時に焦りや劣等感、どうして俺だけがと卑屈にもなっていた。

就職先がきちんと決まって落ち着いたらゆっくりデートでもしようね、ということになってはいたものの、彼女は早々に病院で看護師として採用が決まり、すでに研修に入っていて。

一方の俺は、受ける企業、受ける企業、最終面接までは漕ぎつけるものの、あと一歩届かず、お祈りメールばかりが届く毎日。

一向に光が差さないトンネルの中を永遠にさ迷っている気分で、それでも、もしかしたらと淡い期待を抱いて片っ端から面接を受け続けるという、天国と地獄の日々に辟易としていた。

と、そこに差した一筋の光が、少々不思議な人ではあるようだが、目の前の彼女だ。


「お互い、採用してもらえるように精一杯、頑張りましょうね!応援してます!」


いつの間にか回転扉をうまくくぐり抜けられ、1階ロビーに到着していた彼女と俺。

俺は、いまだに目を大きく見開き、こちらを不思議そうにじーっと見ている彼女に向けてグッと握り拳を作ると、そう言った。
 
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