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第十五章
気が付くと、目の前は板張りの床だ。
は、と飛び起き、貫七はおりんを探した。
「おりんっ! おりん!」
見ると己のすぐ傍で、おりんが伸びている。
がばっと抱き上げ、胸に耳を当てる。
鼓動が聞こえ、ほ、と息を付き、貫七はおりんの身体をざっと見た。
「おりん、怪我ねぇか」
『うう……。う、うん……』
ひとしきりおりんの無事を確認した後、やっと貫七は己の周りに目をやった。
そして、ぎょっとする。
どこぞのお堂の中のようで、だだっ広い板張りの空間に、二人は投げ出されていた。
そして、周りをぐるりと、白狐が取り巻いているのだ。
遠巻きだが、いくつもの光る目に囲まれているのは、この上なく不気味だ。
「な、何だ……ここは……」
呟き、貫七はぐるりと辺りを見回した。
と、正面だけ、ぽかりと白狐の輪が開いている。
そしてそこには、天井から御簾が垂らされていた。
貫七の目がそこに留まるのを待っていたかのように、御簾がするすると引き上げられる。
周りの白狐たちが、一斉に平伏した。
「そなたが此度、面白げな案件を持ってきた主か」
御簾内にいた青年が、静かに口を開いた。
ちょっときついが、端正な顔立ちの青年だ。
ゆったりと脇息に寄りかかり、手にした扇を弄んでいる。
は、と飛び起き、貫七はおりんを探した。
「おりんっ! おりん!」
見ると己のすぐ傍で、おりんが伸びている。
がばっと抱き上げ、胸に耳を当てる。
鼓動が聞こえ、ほ、と息を付き、貫七はおりんの身体をざっと見た。
「おりん、怪我ねぇか」
『うう……。う、うん……』
ひとしきりおりんの無事を確認した後、やっと貫七は己の周りに目をやった。
そして、ぎょっとする。
どこぞのお堂の中のようで、だだっ広い板張りの空間に、二人は投げ出されていた。
そして、周りをぐるりと、白狐が取り巻いているのだ。
遠巻きだが、いくつもの光る目に囲まれているのは、この上なく不気味だ。
「な、何だ……ここは……」
呟き、貫七はぐるりと辺りを見回した。
と、正面だけ、ぽかりと白狐の輪が開いている。
そしてそこには、天井から御簾が垂らされていた。
貫七の目がそこに留まるのを待っていたかのように、御簾がするすると引き上げられる。
周りの白狐たちが、一斉に平伏した。
「そなたが此度、面白げな案件を持ってきた主か」
御簾内にいた青年が、静かに口を開いた。
ちょっときついが、端正な顔立ちの青年だ。
ゆったりと脇息に寄りかかり、手にした扇を弄んでいる。