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第六章
早暁、まだ暗いうちに起き出した貫七は、軽く部屋を片付け、おりんをつれて、そろそろと階下に降りた。
当然ながら、灯りは点いていない。
貫七は足音を忍ばせて、廊下の奥の物置部屋の前に立った。
政吉たちは、そこを使っていたのだ。
「そろそろ刻限ですぜ。出られますかい?」
小声で聞いてみると、すぐに襖が細く開いた。
「す、すみません。ちょっとお待ちください」
政吉が顔を出し、ぺこりと頭を下げる。
まだ準備が出来ていないようだが、この二人だって、そう大層な荷物はなかったはずだ。
ちらりと政吉の背後に目をやると、お嬢さんが鏡に向かっていた。
「……化粧かよ」
若干貫七の目が胡乱になる。
途端に鏡越しに、お嬢さんがぎらりと鋭い目を向けた。
「すみません。いえ、いつも完璧に身繕いしないと、絶対に人前には出ないので」
困ったように、政吉が言う。
つまり、完璧に女装してからでないと、人前には出ないということだ。
「……まぁ仕方ねぇか。女で通してきたんだもんな」
女子でも、起き抜けはすっぴんなものだが、それだとさすがに違和感があるのだろう。
もう子供ではないのだ。
当然ながら、灯りは点いていない。
貫七は足音を忍ばせて、廊下の奥の物置部屋の前に立った。
政吉たちは、そこを使っていたのだ。
「そろそろ刻限ですぜ。出られますかい?」
小声で聞いてみると、すぐに襖が細く開いた。
「す、すみません。ちょっとお待ちください」
政吉が顔を出し、ぺこりと頭を下げる。
まだ準備が出来ていないようだが、この二人だって、そう大層な荷物はなかったはずだ。
ちらりと政吉の背後に目をやると、お嬢さんが鏡に向かっていた。
「……化粧かよ」
若干貫七の目が胡乱になる。
途端に鏡越しに、お嬢さんがぎらりと鋭い目を向けた。
「すみません。いえ、いつも完璧に身繕いしないと、絶対に人前には出ないので」
困ったように、政吉が言う。
つまり、完璧に女装してからでないと、人前には出ないということだ。
「……まぁ仕方ねぇか。女で通してきたんだもんな」
女子でも、起き抜けはすっぴんなものだが、それだとさすがに違和感があるのだろう。
もう子供ではないのだ。