わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
「何が『死んだよ』なの!?
あなたたちが殺したようなものでしょ!?」
いつも静かな教室が今日はいつにも増して静かだ。
やっぱり皆、自分が一番大事。
誰もなにも言わない―――それを打ち破ったのは、場違いな間抜けた声だった。
「なぁに、これぇ?
皆揃って辛気臭いねぇっ」
にこにこと教室に入ってきたのは、ここあだった。
「ここあ、あんた保健室行ったんじゃなかったの?」
「ん~、寝てるのも飽きちゃったし、明美ちゃんたちといた方が楽しいもんっ」
ぴょん、と私に飛び付くここあはやっぱりかわいい。
凍り付いた空気が、少し溶けた気がした。
「あっそーだ!
えぇと、委員長の…芽衣ちゃんだっけ?
今なんの話してたのかここあにはわかんないけど」
ととと、と委員長に近付いたここあが、さらに顔を近付ける。
「佐久間ちゃんが死んだの明美ちゃん達のせいにしたらここあ許さないからね」
まるで無機質な音楽みたいに流れ出たここあの言葉に、再び教室が凍り付く。
普段より何倍もトーンの低いここあの声は、背筋がゾッとするくらい怖い。
おちゃらけた雰囲気からのギャップと言うのだろうか、とにかくすごい迫力なのだ。
「さぁて、授業も始まるから座ろっか!」
その日の教室に、私たち以外の声が響くことはなかった。