知りたくなかった本当の気持ち

一旦振り返った家政婦は、すぐに私の視界から消えた。


そして私はというと。


部屋から出たが、ドアに寄りかかった。



また会社漬けで、社宅に入り浸るんだ。



私に何も言わないで、家政婦に伝言で済ませて。



はぁ。



それから私は、きちんとリビングに行って家族で夕飯を食べた。




「來奈。

また寂しい思いをするだろうけど、頑張ってね」



食事中は終始静かだった。



しかし皆が食べ終わり、私がすぐに部屋に戻ろうとすると。



母さんが声をかけてくれた。



いつもそう。


母さんだけは私に声をかけてくれる。



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