私の居場所
「園美ちゃん、今日の納品の伝票、出し忘れてた。」

則人さんはよく忘れた頃に、伝票を出してくることが多い。

「はい、処理しておきますね。」

私はにっこり受け取る。

今日のうちに伝票が出てくるのは、早い方だ。

そこへ福山さんがひょっこりと顔を出す。

「則人さん、園美ちゃんも忙しいんだから、伝票は溜めないであげて下さいね。」

こういう言い方が福山さんらしい。

「分かっているんだけどね。つい車に忘れちゃうんだ。いつもごめんね。」

悪気はない事は分かっているから、しょうがない。

則人さんだって、外回りも任されているのに、合間に社長や職人さんに技術を教わったりして忙しい。

若いとはいえ、娘婿さんは大変だ。

「いえいえ、私の仕事なんてお二人に比べたら全然ですよ。」

私は二人に向かって、微笑んだ。

「みんなの仕事が上手に回っていくと良いね。」
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