私の居場所
福山さんはそう付け加えると、材料を担いで工場へ戻って行った。

あ～あ、ちょっと自己嫌悪。

いつも優しい福山さんに、嫌な事を言わせてしまったな。

少しへこんでいると、そこへ奈緒さんが戻って来た。

「福山さんの言う事は的を得てるよね。」

奈緒さんはさっきの様子を見ていたようで、くすくす笑っている。

「園美さん、私もちゃんと頼って下さいね。年下でも私はここの娘なんです。小さい頃からこのうちに居て、仕事を感じて来た時間は長いんですよ。事務だって私が少し教われば、園美さんの負担も減らせそうじゃないですか。」

奈緒さんの気持ちが嬉しい。

「ありがとうございます。」

前の会社で身体を壊してしまったのも、私が仕事を自分で抱え過ぎたのが原因のひとつだ。

ここのみんなに見透かされているみたい。

そんな事を思っていると、奈緒さんがこちらを見る。

「でも福山さんも園美さんが心配でたまらないのね。」

そんな事を言う。
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