私の居場所
「だから毎年1回のこの健康診断が大事なんだよ。」

悦子さんは雅さんに声をかける。

敏さんが横でうなずいている。

「俺は何年か前に大病しちゃったからな。本当に健康は有りがたいぞ。ちゃんと自分の体の状態は把握しておいた方が良い。」

敏さんは肺を患い、大きな手術をしたらしい事は以前に聞いた。

「でも最近の園美ちゃんは、顔色も良いよな。来たばかりの時はいかにも貧血気味の青白い顔をしていたもんな。」

うちの職人さんの中で一番の若手、こないだ35歳になったはずの福山さんが口を開く。

「あの時は完全に身体をを壊した後で、病み上がりでしたから。でも今は元気ですよ。しっかり御飯も食べられるようになったし。」

私は福山さんに元気をアピールする。

福山さんはそれにうなずきながら、言葉を続ける。

「俺はまだ何も引っかかってないけれど、同じ年の奴はそろそろ再検査とか受けてる奴もいるからな。」

ちょっと難しい顔をした福山さんを見て、社長が笑う。

「お前は酒が好きだからな。肝臓が一番心配だな。」
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